- 「マンション管理士を取ると、どんな仕事ができる?」
- 「転職や年収アップに役立つ資格なの?」
- 「難しい資格だけど、将来性はある?」
マンション管理士は、マンションの管理組合や区分所有者に対して、管理運営に関する助言や支援を行う専門資格です。
一方で、宅建士や管理業務主任者のような独占業務や設置義務がある資格ではありません。
そのため、「資格を取ればそのまま転職や年収アップにつながる」と考えると、取得後にギャップを感じる可能性があります。
私は不動産管理の実務に携わりながら、宅建士・管理業務主任者・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士の4資格を取得しました。
実際に感じるのは、マンション管理士は「資格だけで仕事を得る」というより、これまでの経験や知識に専門性を加える資格だということです。
この記事では、マンション管理士の仕事内容・年収・転職・将来性・資格を活かせるキャリアについて、実務経験と資格取得経験をもとに解説します。
マンション管理士とは?
マンション管理士は、マンション管理に関する専門的な知識を使い、管理組合の運営やマンションの管理について助言・支援を行う専門家です。
マンション管理適正化法でも、管理組合の管理者や区分所有者などから相談を受け、専門的知識をもって助言・指導その他の援助を行う資格として位置づけられています。
マンション管理士は名称独占資格
マンション管理士には、宅建士や管理業務主任者のような「資格者でなければできない独占業務」はありません。
そのため、資格を取得したからといって、資格者にしかできない仕事が自動的に与えられるわけではありません。
一方、「マンション管理士」という名称を使用するには登録が必要です。
マンション管理に関する専門知識を持っていることを対外的に示せる点は、資格取得のメリットといえるでしょう。

「この資格だけで仕事が決まる」タイプではありません。何に活かすかを考えてから取ることが大切です。
マンション管理士を取る意味について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ マンション管理士は意味ない?仕事がない・役に立たないと言われる理由と資格の活かし方
マンション管理士の仕事内容
マンション管理士の仕事は、管理組合の状況や依頼内容によって異なります。
代表的な業務としては、次のようなものがあります。
- 管理組合運営に関する相談
- 管理規約の見直しに関する助言
- 総会・理事会運営の支援
- 管理会社との契約内容の確認
- 管理費・修繕積立金に関する相談
- 大規模修繕に関する助言
- 長期修繕計画に関する相談
- 区分所有者間の問題に関する支援
- 管理組合の合意形成の支援
国土交通省も、マンション管理について、管理規約の見直しや管理組合の合意形成、建物・設備の維持管理などで専門家を活用することを想定しています。
管理組合の運営を支援する
マンション管理組合は、マンションを所有する区分所有者によって構成されます。
しかし、理事や理事長になったからといって、区分所有法や管理規約、大規模修繕について詳しいとは限りません。
そこで、専門知識を持ったマンション管理士が第三者として相談を受けます。
たとえば、「管理規約を変更したいが、どのように進めればいいのか」「管理会社から修繕工事を提案されたが、内容をどう判断すればいいのか」「理事会で意見がまとまらない」といった場面です。
管理組合自身が最終的な意思決定を行うことには変わりありませんが、専門家の知識を利用することで判断材料を増やすことができます。
管理会社とは違う立場から支援する
マンション管理会社は、管理組合から委託を受けて日常的な管理業務を行います。
一方、マンション管理士は管理会社そのものではありません。
必要に応じて、
- 管理委託契約
- 管理仕様
- 修繕計画
- 管理規約
- 管理組合運営
などについて、管理組合側から相談を受けることがあります。
管理会社からの提案をそのまま受け入れるのではなく、専門知識をもって内容を検討するための支援役と考えると分かりやすいでしょう。
マンション管理士資格を活かせる仕事
マンション管理士は、資格名そのものを職種にするだけでなく、管理会社・不動産管理・コンサル・管理組合支援などで知識を活かせます。
マンション管理会社
マンション管理士と相性がいい仕事の一つが、分譲マンション管理会社です。
管理会社では、理事会・総会の運営支援、管理規約の確認、修繕計画、建物管理など、マンション管理士試験で学ぶ内容と重なる業務が多くあります。
ただし、管理会社への転職という観点では、マンション管理士よりも管理業務主任者の方が直接的に役立つケースが多いです。
この違いについては後ほど詳しく解説します。
不動産管理会社
分譲マンション管理会社以外でも、マンション管理士で学ぶ民法・区分所有法・管理規約・建物設備などの知識は、不動産管理の実務に活かせます。
資格そのものが必須でなくても、実務経験と組み合わせることで専門性を高めることができます。
マンション管理コンサルタント
マンション管理士資格を活かし、管理組合向けのコンサルティング業務を行う方法もあります。
たとえば、以下の通りです。
- 管理会社の見直し
- 管理委託契約の確認
- 管理規約改正
- 大規模修繕
- 長期修繕計画
- 管理組合運営
ただし、マンション管理士資格を取得しただけで、すぐにコンサルタントとして仕事を獲得できるわけではありません。
実務経験や得意分野、営業力なども必要になります。
管理組合への第三者支援
近年は、管理組合役員の担い手不足などを背景に、外部専門家をマンション管理に活用する仕組みも整備されています。
国土交通省の「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」でも、外部専門家としてマンション管理士・弁護士・公認会計士などが想定されています。
マンション管理士が外部専門家として管理組合運営に関わることは、今後のキャリアの一つとして考えられます。
他資格と組み合わせて活かす
マンション管理士は単独で考えるより、他の資格や実務経験と組み合わせることで活かしやすくなります。
たとえば、以下のような資格などです。
- 管理業務主任者
- 宅建士
- 建築士
- 行政書士
- ファイナンシャルプランナー
特に不動産業界で働いている人の場合、実務経験+宅建士+管理業務主任者+マンション管理士のように専門分野を広げることで、知識の厚みを出しやすくなります。
マンション管理士の年収はいくら?
結論から言うと、マンション管理士という資格だけで一律の年収相場を示すことは難しいです。
なぜなら、資格保有者には、管理会社の社員、不動産会社の社員、コンサルタント、独立マンション管理士など、さまざまな働き方があるからです。
そのため、「マンション管理士になれば年収○○万円」と考えるのではなく、どの仕事・勤務先で資格を活かすのかを見る必要があります。
会社員の場合は勤務先や役職の影響が大きい
会社員として働く場合、年収を決める主な要素は、以下の通りです。
- 勤務先
- 職種
- 実務経験
- 役職
- 担当業務
- 保有資格
マンション管理士を取得しただけで給与が大幅に上がるとは限りません。
資格手当が支給される会社もありますが、マンション管理士資格そのものよりも、実務経験や役職の方が年収への影響は大きくなりやすいでしょう。
独立した場合は収入差が大きくなる
独立マンション管理士の場合は、会社員以上に収入差が大きくなります。
依頼件数や契約単価、営業力、専門分野によって収入が変わるためです。
特に独立では、以下の視点が重要になります。
- 顧客をどう獲得するか
- 何を専門分野にするか
- 継続契約を獲得できるか
- 実務経験をどう示すか
資格を取っただけで仕事が入ってくるわけではない点には注意しましょう。

難しい資格だからといって、年収がそのまま高くなるわけではありません。資格より“どう使うか”が重要です。
マンション管理士は転職に有利?
マンション管理士は不動産・マンション管理に関する専門知識を証明できるため、転職で評価される可能性があります。
特に、次のような人が追加で取得すると、専門性を示しやすくなります。
- 不動産業界経験がある
- マンション管理経験がある
- 管理業務主任者を持っている
- 宅建士を持っている
一方で、マンション管理士を持っているだけで転職が大幅に有利になるとは限りません。
理由は独占業務や設置義務がないためです。
未経験から転職する場合
未経験からマンション管理業界への転職を目指す場合、マンション管理士資格は知識や意欲を示す材料になります。
ただし採用側からすると、「資格を持っているか」だけではなく、次のような実務面も重要です。
- 顧客対応ができるか
- 理事会・総会対応ができるか
- トラブル対応ができるか
- 関係者との調整ができるか
資格を取得したからといって、実務経験の代わりになるわけではありません。
経験者のキャリアアップとは相性がいい
一方、不動産管理やマンション管理の経験者であれば、マンション管理士は比較的活かしやすい資格です。
すでに持っている実務経験に、マンション管理に関する専門知識を追加できるからです。
そのためマンション管理士は、「ゼロから仕事を得るための資格」というより、「これまでのキャリアに専門性を追加する資格」と考えた方が実態に近いでしょう。
マンション管理士と管理業務主任者の違い
マンション管理士とよく比較されるのが管理業務主任者です。
試験範囲は似ていますが、資格の役割は異なります。
| マンション管理士 | 管理業務主任者 | |
| 主な立場 | 管理組合側への助言・支援 | マンション管理業者側 |
| 独占業務 | なし | あり |
| 設置義務 | なし | あり |
| 転職との相性 | 実務経験との組み合わせで活かしやすい | 管理会社への転職と相性がいい |
| 主な特徴 | 専門知識・コンサルティング | 管理会社実務 |
管理業務主任者には、管理受託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告など、資格者が関与する業務があります。
また、マンション管理業者では一定数の管理業務主任者を設置する必要があります。
そのため、分譲マンション管理会社への転職だけを目的にするなら、管理業務主任者の方が優先度は高いと私は考えます。
一方、管理業務主任者を取得した後に、
- より専門知識を深めたい
- 管理組合側からの視点も学びたい
- 将来的にコンサル業務をしたい
- キャリアの専門性を高めたい
という場合は、マンション管理士を取得する意味があります。

私も管理業務主任者のあとにマンション管理士を取りました。転職なら管業、専門性を高めるならマン管という違いを意識すると分かりやすいです。
マンション管理士と管理業務主任者を両方受験するか迷っている方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶【危険】マンション管理士と管理業務主任者のダブル受験をおすすめしない理由|勉強時間・受験順も解説
マンション管理士に将来性はある?
マンション管理士の将来性を考えるうえでは、「資格の需要」と「マンション管理に関する専門知識の需要」を分けて考えることが重要です。
一方で、マンション管理に関する専門的な支援が必要となる場面は今後も考えられます。
マンションの高経年化への対応
マンションは建築から時間が経つほど、次のような管理上の問題が増えていきます。
- 大規模修繕
- 設備更新
- 長期修繕計画
- 修繕積立金
- 建替え
- 管理規約
建物だけではなく、区分所有者間の合意形成も重要になります。
こうした場面では、マンション管理に関する法律や管理運営の知識が必要です。
管理組合役員の担い手不足
マンションでは、区分所有者の高齢化や賃貸化などによって、理事や理事長の担い手を確保しにくくなる場合があります。
こうした背景から、マンション管理に外部専門家を活用する方法も検討されています。
国土交通省でも、外部専門家を管理者等として活用する場合のガイドラインが整備されており、マンション管理士も外部専門家の一つとして位置づけられています。
これは、マンション管理士の知識を活かせる分野の一つと考えられます。
法律だけでなく合意形成能力も重要になる
マンション管理の難しいところは、法律を知っていればすべて解決するわけではないことです。
マンションには多くの区分所有者がいるため、以下のような能力も必要です。
- 意見を聞く
- 説明する
- 調整する
- 選択肢を示す
- 合意形成を支援する
今後マンション管理士として仕事をするなら、資格知識だけではなく、実務経験やコミュニケーション・調整能力まで含めた専門性が重要になるでしょう。
マンション管理士は独立できる?
マンション管理士は、管理組合と直接契約してコンサルティングや顧問業務などで独立することも可能です。
たとえば、以下のような業務が考えられます。
- 顧問契約
- 管理規約の見直し支援
- 管理会社変更支援
- 大規模修繕の支援
- 総会・理事会運営支援
- 外部専門家としての管理組合支援
独立では資格より営業力が重要になる
独立すると、「マンション管理士資格を持っている」というだけでは仕事につながりません。
顧客となる管理組合に、「なぜこの人に依頼する必要があるのか」を伝える必要があります。
そのため、
- 管理会社での実務経験
- 大規模修繕の経験
- 管理規約に強い
- 会計に強い
- 建物・設備に強い
- 管理会社変更に強い
など、分かりやすい強みを作ることが重要です。
他資格との組み合わせも有効
独立する場合は、マンション管理士以外の資格や経験も武器になります。
たとえば宅建士や管理業務主任者を持っていれば、不動産・マンション管理に関する幅広い知識を示せます。
一方、建築・法律・会計など専門領域によっては、他の専門家との連携が必要になることもあります。
マンション管理士一人ですべてを解決しようとするのではなく、自分の専門領域を明確にすることが重要です。
マンション管理士を取るメリット・向いていない人
マンション管理士を取得する主なメリットは、次の3つです。
- マンション管理の知識を体系的に学べる
- 専門知識を持っていることを客観的に示せる
- 管理会社・管理組合支援・独立など将来の選択肢を広げられる
特に、不動産管理やマンション管理の実務経験がある人、管理業務主任者からさらに専門性を高めたい人とは相性がいい資格です。
一方で、
- 資格だけで転職したい人
- 資格取得だけで大幅な年収アップを狙う人
- 不動産やマンション管理に興味がない人
という人は、マンション管理士の優先度は高くないかもしれません。
マンション管理士は独占業務がないため、「取れば仕事に困らない資格」ではありません。
大切なのは、資格そのものではなく、取得後に何へ活かすのかを考えることです。
マンション管理士を取る意味について詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。
▶ マンション管理士は意味ない?仕事がない・役に立たないと言われる理由と資格の活かし方
著者の本音|不動産4資格を取得して感じるマン管の価値
私は、宅建士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者・マンション管理士の4資格を取得しています。
その中でマンション管理士は、最も「取得後の使い方」を考えておいた方がいい資格だと感じています。
宅建士や管理業務主任者のように、資格者が必要になる仕事が明確ではないからです。
一方で、資格取得を通して学ぶ区分所有法・標準管理規約・管理組合運営・建物設備などの知識は、マンション管理を理解するうえで非常に役立ちます。
私自身、不動産管理の実務に携わっていますが、マンション管理士の勉強をしたことで、それまで断片的だった知識を体系的に整理できました。
だから私はマンション管理士について、「取れば人生が変わる資格」ではなく、「これまでのキャリアに専門性を積み上げる資格」だと考えています。
すでに不動産業界で働いている人や、管理業務主任者からさらに専門性を高めたい人にとっては、取得する価値があります。
一方で、転職や年収アップだけを目的にするなら、マンション管理士より先に取るべき資格がないかを考えてみてもいいでしょう。
宅建士との難易度の違いが気になる方はこちらも参考にしてください。
まとめ|マンション管理士は実務経験と組み合わせて活かす資格

マンション管理士は、管理組合や区分所有者に対して、マンション管理に関する助言や支援を行う資格です。
ただし、宅建士や管理業務主任者のような独占業務や設置義務がある資格ではありません。
そのため、資格を取っただけで転職や年収アップが保証されるわけではありません。
一方で、不動産管理の実務経験や管理業務主任者、宅建士などと組み合わせることで、専門性を高めることができます。
大切なのは、「マンション管理士を取ること」ではなく、「取得後に何へ活かすのか」です。
私自身、不動産4資格を取得して感じるのは、マンション管理士はこれまでのキャリアに専門性を積み上げる資格だということです。
転職を優先するなら管理業務主任者、マンション管理の専門性をさらに高めたいならマンション管理士というように、自分の目的から資格を選びましょう。