宅建と賃貸不動産経営管理士のダブル受験は無理?おすすめしない理由と受験順を解説

宅建と賃貸不動産経営管理士のダブル受験は無理?おすすめしない理由と受験順を解説
  • 「宅建と賃貸不動産経営管理士を同じ年に受けても大丈夫?」
  • 「試験範囲が似ているなら、ダブル受験した方が効率的?」
  • 「先に取るなら宅建と賃貸不動産経営管理士のどっち?」

宅建と賃貸不動産経営管理士は、どちらも不動産系の国家資格なので、「試験範囲が重なるなら、同じ年にダブル受験した方が効率的では?」と考える人もいると思います。

結論から言うと、ダブル受験そのものは可能です。

ただし、初学者や仕事をしながら勉強する社会人が、両方をゼロから同時に狙うのはあまりおすすめしません。

宅建と賃貸不動産経営管理士には民法など共通する分野がありますが、試験範囲が完全に同じわけではなく、宅建試験から賃貸不動産経営管理士試験までの間隔も、おおむね1か月程度しかないためです。

一方で、

  • 宅建の勉強がすでにかなり進んでいる
  • 宅建の模試で安定して合格圏に入っている
  • 宅建対策に影響しない程度の勉強時間を確保できる

といった人なら、賃貸不動産経営管理士とのダブル受験を検討してもよいでしょう。

私自身、宅建士と賃貸不動産経営管理士の両方を取得しています。

この記事では、実際に両方を勉強した経験をもとに、ダブル受験をおすすめしにくい理由、向いている人、受験する順番を解説します。

宅建と賃貸不動産経営管理士の違い

宅建と賃貸不動産経営管理士は、どちらも不動産に関する国家資格ですが、試験で重視される分野は異なります。

まずは大まかな違いを確認しておきましょう。

項目宅建賃貸不動産経営管理士
主な分野宅建業法・民法・法令上の制限・税など賃貸管理・設備・民法・賃貸住宅管理業法など
試験時期10月11月
問題数50問50問
特徴法律分野の比重が大きい賃貸管理実務・建物設備の知識も必要

両資格では、民法や賃貸借など一部の知識を活かせます。

そのため、「宅建の勉強をしていれば、賃貸不動産経営管理士にも有利なのでは?」と考える人もいるでしょう。

実際、宅建で身につけた法律知識は、賃貸不動産経営管理士の勉強でも役立ちます。

ただし、試験範囲がそのまま重なっているわけではありません。

宅建では宅建業法や法令上の制限が重要になる一方、賃貸不動産経営管理士では、建物・設備や賃貸管理実務、賃貸住宅管理業法など、宅建では深く学ばない分野の対策も必要です。

つまり、宅建を勉強すれば賃貸不動産経営管理士もそのまま受かる、というほど単純ではありません。

まつたけ風味
まつたけ風味

この違いが、ダブル受験を考えるうえで重要なポイントになります。

宅建と賃貸不動産経営管理士のダブル受験をおすすめしない理由

宅建と賃貸不動産経営管理士には共通する知識もあります。

それでも、特に初学者にはダブル受験をあまりおすすめしません。

主な理由は次の3つです。

試験範囲は重なるが、独自に勉強する分野も多い

宅建と賃貸不動産経営管理士では、民法や賃貸借など一部の知識が重なります。

しかし、「ほとんど同じ試験」というわけではありません。

宅建では宅建業法や法令上の制限などの対策が重要になる一方、賃貸不動産経営管理士では、

  • 賃貸住宅管理業法
  • 管理受託契約
  • 建物・設備
  • 維持保全
  • 賃貸管理実務

などの対策も必要です。

私自身、両資格を勉強しましたが、宅建で学んだ知識が役立つ場面はあっても、賃貸不動産経営管理士専用の勉強は必要だと感じました。

「試験範囲が似ているから、宅建のついでに受ければ大丈夫」と考えると、思った以上に勉強量が増える可能性があります。

宅建から賃貸不動産経営管理士までの間隔が短い

宅建試験は例年10月、賃貸不動産経営管理士試験は例年11月に実施されます。

そのため、両試験の間隔は短く、宅建試験後に賃貸不動産経営管理士の独自分野を仕上げるには、限られた期間で対策する必要があります。

つまり、宅建が終わってから賃貸不動産経営管理士まで、おおむね1か月程度しかありません。

この期間で、以下の分野を仕上げる必要があります。

  • 建物・設備
  • 賃貸住宅管理業法
  • 管理実務
  • 宅建と重ならない論点
  • 過去問演習

すでに賃貸不動産経営管理士の勉強も進めているなら問題ありませんが、宅建終了後にゼロから切り替えるのは簡単ではありません。

勉強時間を分散すると宅建対策が中途半端になりやすい

ダブル受験で一番注意したいのが、勉強時間の分散です。

例えば、宅建の合格点にまだ届いていない時期に、「11月の賃貸不動産経営管理士もあるから、そっちの勉強もしないと」となれば、本来宅建に使えるはずだった時間が減ってしまいます。

特に宅建の合格がまだ見えていない人は、賃貸不動産経営管理士まで手を広げず、まず宅建に集中した方が現実的です。

宅建と賃貸不動産経営管理士のダブル受験が向いている人

ここまで読むと、「じゃあダブル受験は絶対にやめた方がいいの?」と思うかもしれません。

そうではありません。

すでに宅建の勉強が進んでいる人なら、ダブル受験を検討してもよいでしょう。

目安としては次のように考えています。

状況ダブル受験の考え方
宅建の模試で安定して合格圏検討してもよい
宅建の過去問がかなり仕上がっている検討してもよい
宅建の勉強時間を十分確保できる検討してもよい
両資格とも初学者あまりおすすめしない
宅建の合格点に届いていない宅建優先
勉強時間をあまり確保できない1資格ずつがおすすめ

判断するときに大切なのは、「両方受験できるか」ではなく、「宅建の勉強時間を削っても問題ない状態か」です。

宅建が仕上がっていないのに賃貸不動産経営管理士へ勉強時間を割くのは、あまりおすすめしません。

反対に、宅建の合格圏に安定して入っていて勉強時間にも余裕があるなら、賃貸不動産経営管理士の勉強を並行して進める選択肢もあります。

宅建と賃貸不動産経営管理士はどちらが難しい?

ダブル受験を考えている人は、「そもそも宅建と賃貸不動産経営管理士はどちらが難しいの?」と気になるかもしれません。

宅建と賃貸不動産経営管理士では試験範囲や出題傾向が異なりますが、私自身は宅建の方が対策に必要な学習量は多いと感じました。

ただし、単純に合格率や合格点だけで難易度を決めることはできません。

宅建では、宅建業法・権利関係・法令上の制限・税・その他など幅広い分野への対応が必要です。

一方、賃貸不動産経営管理士も、賃貸管理実務や設備など独自の知識が問われるため、簡単に合格できる試験ではありません。

詳しい比較については、以下の記事で解説しています。

▶ 賃貸不動産経営管理士の難易度は?宅建との比較でわかる実態を解説

先に取るなら宅建がおすすめ

両方の資格を取りたい場合、私はまず宅建から取得することをおすすめします。

理由は大きく3つあります。

不動産業界で活かせる場面が多い

宅建士は、不動産の売買・賃貸仲介など幅広い場面で活かしやすい資格です。

宅地建物取引業者には、事務所等ごとに法律で定められた数の専任宅建士を置く必要があるため、宅建士資格は不動産業界で活用されやすい資格のひとつです。

私自身、不動産管理の実務に携わっていますが、宅建は賃貸管理だけでなく、契約や不動産取引の知識を身につけるうえでも活かしやすいと感じています。

▶ 宅建士の仕事内容・年収・将来性|資格を活かせる仕事とキャリアを解説

宅建の知識を賃貸不動産経営管理士に活かせる

宅建で学ぶ民法や賃貸借などの知識は、賃貸不動産経営管理士でも役立ちます。

そのため、宅建 → 賃貸不動産経営管理士の順番なら、すでに知っている分野を復習しながら、設備や賃貸管理実務などの新しい分野を追加できます。

ゼロから2資格を同時に勉強するよりも、学習を進めやすくなります。

宅建の方がキャリアの選択肢を広げやすい

賃貸不動産経営管理士は、名前のとおり賃貸住宅管理との相性が高い資格です。

一方、宅建士は、

  • 賃貸仲介
  • 売買仲介
  • 不動産管理
  • 不動産会社への転職

など、比較的幅広い仕事で活かせます。

そのため、まだ将来の仕事内容を決めていない人なら、まず宅建を取得しておく方が選択肢を広げやすいでしょう。

▶ 宅建を取るメリット7選|取得して感じたデメリット・取る意味も解説

著者の本音|宅建と賃管士の両方を取る意味はある?

私自身、宅建士と賃貸不動産経営管理士の両方を取得していますが、両方取る意味はあると感じています。

キャリアアップに活かせるのはもちろんですが、私の場合は、宅建と賃貸不動産経営管理士の両方に資格手当がついたため、実際に給与も増えました。

▶ 宅建士と賃貸不動産経営管理士のダブルライセンスはアリ?転職・収入に差が出る理由を解説

そのため、もし勤務先で資格手当が設定されているのであれば、必ずしも「宅建から先」と決める必要はないと思います。

例えば、賃貸不動産経営管理士の方が先に手当の対象になる、あるいは今の仕事内容に直結するのであれば、そちらから取得するのも十分ありです。

一方で、ダブル受験については慎重に考えた方がいいと思っています。

以前であれば、仕事をしながら同じ年に両方を狙う選択肢も取りやすかったかもしれません。

ただ、現在はどちらの試験も十分な対策が必要で、宅建の勉強だけで賃貸不動産経営管理士まで対応できるわけではありません。

仕事をしながら両方をゼロから仕上げるとなると、かなり負担は大きいです。

そのため、資格手当や仕事上の必要性があるなら取得順は柔軟に考える。一方、特に理由がなければ1資格ずつ確実に取るという考え方でいいと思います。

特に理由がなければ「宅建→賃管士」がおすすめ

両方を無理なく取得したいのであれば、次の流れが分かりやすいです。

基本ルート:まず宅建に集中する

まずは宅建合格を目指します。

宅建では、

  • 宅建業法
  • 民法
  • 法令上の制限
  • 税・その他

をしっかり勉強しましょう。

宅建業に従事して一定の登録講習を修了した人は、宅建試験で5問免除を受けられます。

▶ 社会人向け宅建の勉強スケジュール|独学はいつから?1日の勉強時間も解説

宅建取得後:賃貸不動産経営管理士に挑戦する

宅建に合格したら、次に賃貸不動産経営管理士を目指します。

宅建で学んだ民法などの知識を活かしながら、

  • 賃貸住宅管理業法
  • 建物・設備
  • 維持保全
  • 賃貸管理実務

などを追加で勉強します。

賃貸不動産経営管理士試験にも、所定の講習修了者を対象とした5問免除制度があります。対象者は45問で受験します。

この順番なら、宅建で基礎を作る → 賃貸管理分野を追加するという形で学習を進められます。

宅建の勉強が仕上がっているなら同じ年のダブル受験もあり

ここまで「1年ずつ取得する方法」をおすすめしてきましたが、宅建の勉強が十分に仕上がっている人なら、同じ年に賃貸不動産経営管理士まで受験するのも選択肢です。

例えば、次のような場合です。

  • 夏頃までに宅建の過去問がかなり仕上がっている
  • 模試で安定して合格圏に入っている
  • 宅建直前期でも学習時間に余裕がある

この状態なら、宅建を最優先にしながら、少しずつ賃貸不動産経営管理士の独自分野を勉強しておく方法もあります。

逆に、9月・10月になっても宅建の合格点に届いていない場合は、無理に賃貸不動産経営管理士まで勉強しない方がいいでしょう。

まつたけ風味
まつたけ風味

まず宅建に集中することをおすすめします。

独学で厳しいなら学習方法を見直す

宅建と賃貸不動産経営管理士のダブル受験を考える人の中には、「できるだけ短期間で資格を取りたい」という人もいるでしょう。

ただし、資格を早く取ろうとして勉強範囲を広げすぎると、どちらも中途半端になる可能性があります。

特に宅建について、次のような場合は学習方法そのものを見直してもよいでしょう。

  • 過去問を繰り返しても点数が伸びない
  • 勉強スケジュールを立てられない
  • 何を優先して勉強すればいいか分からない
  • 独学を続けるべきか迷っている

私自身、宅建には独学で4回不合格になり、5回目は通信講座も活用して合格しました。

その経験から、独学だけにこだわる必要はないと感じています。

通信講座を使う場合は、自分が無理なく進められるかを比較するとよいでしょう。

まとめ|宅建の合格が見えてからダブル受験を考えよう

宅建と賃貸不動産経営管理士は、同じ年にダブル受験することも可能です。

ただし、両方とも初学者の場合は、勉強時間が分散して宅建対策が中途半端になりやすいため、私はあまりおすすめしません。

一方、次のような人なら、ダブル受験を検討してもよいでしょう。

  • 宅建の勉強が十分に進んでいる
  • 宅建の模試で安定して合格圏に入っている
  • 宅建対策に影響しない程度の勉強時間を確保できる

重要なのは、「ダブル受験できるか」ではなく、「宅建の勉強時間を削っても問題ない状態か」で判断することです。

両方取得したいのであれば、まず宅建を優先し、その知識を活かして賃貸不動産経営管理士へ進む方法が分かりやすいでしょう。

焦って同時に取る必要はありません。

1つずつ確実に合格し、最終的にダブルライセンスを目指す方法でも十分です。